竜馬がゆく (一)
背中いちめんに毛が生えている人へ、あるいは、竜馬のことをよく知らない人全般へ
竜馬は気の毒になった。気の毒になればつい言うことが行き過ぎてしまうたちの男なのである。
「なに、御遠慮なさるな。わしは諜者よ」
【私的概略】
後に、維新史の奇跡と呼ばれた坂本龍馬の生涯を、司馬遼太郎の視点から捉えた代表作。
全八巻の第一巻。
登場する主な場面は、江戸への剣術留学・黒船騒動・仇討ち騒動・桂小五郎との出会い・剣術諸流試合
【感想】
面白いです。歴史小説は過去の偉人の話が多いので、「感動」が読後感のメインになることが多いですが、この本は、「爽快」な感じです。坂本龍馬が明るい人物で、それがストーリー全般に反映されているためでしょう。
主人公は、剣術が抜群に強くて性格は陽性、読みやすい話に決まっています。
なんで、こんなに他の歴史小説と印象が違うのか、色々考えてみましたが、
結局この程度しか思いつきませんでした。
1.にしても、龍馬の人生にそれが全く無いわけではないのですが、龍馬がそれをアッケラカンと馬鹿にしている感じや、2.も、自分が(未だ)物を知らないことを宣言して平然といるところが、いっそ野放図で気持ち良いです。
また、坂本龍馬が何をしたかは知らなくても、幕末に大活躍した人物であるということは殆どの日本人は知っているわけで、読者も「これから胸のすく大活躍が始まるんだ」という期待感を持ちながら読める、というのもプラスです。
【私的評価】
電車の中で気軽に読めるか…5/5点(暗くならないところが良い)
読後に何かが残った感じがするか…3/5点(第一巻の時点では未だ)
繰り返し読めるか…4/5点(間を置けば、3回くらいは読める)
総合…4/5点