四畳半神話体系

学生生活をやり直したい人へ、あるいは、自分は実力を発揮しきれていないと思っている人へ

  • ISBN(13桁)/9784043878017
  • 作者/森見登美彦
  • 私的分類/面白い本
  • 作中の好きなセリフ/

夜道で出会えば、十人中八人が妖怪と間違う。残りの二人は妖怪である。


四畳半神話大系 (角川文庫)
森見 登美彦
角川書店
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【私的概略】
 同題のTVアニメの原作。

 京都の大学で三回生になった「私」。希望に満ちた入学当初。そのとき見つけた4つのサークルから1つを選んで入部しましたが、サークル選びを失敗して以後の3年間は灰色です。
 薔薇色のキャンパスライフとは無縁の生活です。腐れ縁の小津。下宿先の謎の住人、樋口師匠。気になる乙女、明石さん。

 もしも「私」が、あの時他のサークルを選んでいたら。けったいなカルテットが織り成す4つのパラレルワールド




【感想】
 面白いですね。そして、読んでてテンポがよろしいので読みやすい。一文一文が短いのかもしれません。上の「好きなセリフ」も、あの短い文章が二文です。全体を通して大体こんな感じなのです。作者は意識して、こういう文章にしてるんですかね。さすがはファンタジー大賞受賞作家です。


 4つのサークルそれぞれを選んだ場合のパラレルワールド感を強調するために、4つのストーリーに同じフレーズやシチュエーションが頻繁に盛り込まれているのですが、そんな工夫も2つめまでは面白かったですが3つめで飽きてきます。


 4つめも同じなのかな、もはやメンドくさいな〜、と思って4つめを読みましたが、そんなワンパターンな話ではありませんでした。「俺なりの愛だよ」「そんな汚いもの要らないよ」4つのストーリーの締めの言葉をめぐる、小気味良い結末(読まないと何のことか分かりませんが)。一瞬沸いた倦怠感をキレイに吹き飛ばしてくれました。さすがはファンタジー大賞受賞作家です。TVアニメの原作として採用された作品ですが、ごもっともです。


 ただし、アニメはアニメ、本作は本作で、似てるところはあるけど別の話でしたね。




【私的評価】
電車の中で気軽に読めるか…5/5点
読後に何かが残った感じがするか…2/5点(基本、無いですが、後味が小気味良かった)
繰り返し読めるか…3/5点(時間を空ければ可能)
総合…4/5点(1つめから4つめまでの合わせ技で、面白いです)

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