鴨川ホルモー
京都市北部に住んでいたことのある人へ、あるいは、面白い話に飢えている人へ
- ISBN(13桁)/9784916199829
- 作者/万城目学
- 私的分類/娯楽小説(現代・京都)・面白い話
- 作中の好きなセリフ/
【私的概略】
京都大学総合人間学部に入学した安倍は、エキストラとして参加した葵祭りの帰り道、「京大青竜会」なる正体不明のサークルに勧誘されました。とある事情でこのサークルから離れられなくなった安倍は、祇園祭の宵山の日、遂にサークルの正体を知ります、と言っても、悪質な宗教サークルというわけではなく、「ホルモー」という鬼想天外なチーム戦競技をやるサークルだったのです。
片思い、失恋、確執、友情(らしきもの)、学生サークルによくある風景を織り込みながら、「ホルモー」という、有り得ない風景が展開されていきます。
【感想】
分かりません。まず、この本の表紙。烏丸通りを、祇園辺りから八坂神社の方角に向かって描かれた背景。ここまでは分かりますが、手前にいる若人4人のうち、なぜ1人はチョンマゲになっているのか? しかも、時代劇で江戸時代のお侍様がよくやってるタイプのチョンマゲではなく、織田信長風茶せん髷と思しきチョンマゲ。お笑い4人組の話なのでしょうか?
もう一つ、決定的に分からないのは、題名の「ホルモー」とは何なのか? ということ。
本屋でこの本を手にとった時、そんな感じで「分からぬ」気分だらけでした。が、本の内容は面白いです。ややブッキラぼうな文体と、随所で笑いを誘う可笑しさ、「この後どうなるのか気になる」的な感じではなく、「テンポが良いのでついつい読み進んでしまう」的に一気呵成に読めてしまいます。
分からなかったことも結局解決したのですが、この本の題名で、この本の面白い内容には気付きません。潜在的なお客さんを逃してないか、余計なお世話風心配をしてしまいます。
登場人物のネーミングも、私的には○です。安倍が主人公で、芦屋が敵役、三好兄弟が味方なら松永が敵側、という具合に敵味方の別れ具合もご尤もな感じ、昔実在した人物から名前を拝借して、その登場人物の関係を、本作の登場人物の関係にそのまま反映させてます。なかなか思い付きそうで思い付かない方法だと思います。
いや、そもそも「ホルモー」という名前の、こんな変な競技を思い付くこと自体、すごい発想なんですけど。いったい、どんな幼少期を送ったら、こんな妙なことを考え付けるようになるのでしょうね。
【私的評価】
電車の中で気軽に読めるか…5/5点(読めます。が、所々で顔が笑ってしまいます)
読後に何かが残った感じがするか…3/5点(京都に帰りたくなりました)
繰り返し読めるか…4/5点(読めます。その都度、微妙な布石を発見)
総合…4/5点