テルマエ・ロマエ

風呂好きの人へ、あるいは、戦国自衛隊とか好きな人へ

  • ISBN(13桁)/9784047261273
  • 作者/ヤマザキマリ
  • 私的分類/マンガ(笑えるやつ)
  • 作中の好きなセリフ/

夢だけど 夢じゃなかった


テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)(←同作品を扱う他ブログへ)


【私的概略】
 マンガ大賞2010受賞作品。


 主人公ルシウスは、最盛期のローマ帝国の住人。職業は建築家です。
 ある日、ローマの大衆浴場に浸かっていたところ、風呂底に開いた穴に吸い込まれてしまいました。その穴はなんと、現代日本の銭湯につながっていたのです!
 銭湯の「富士山の絵」や、「フルーツ牛乳」の知識を得たルシウスは、ローマに似たような大衆浴場を作り、天才的アイデアの建築家としてその名を高めていきます。
 


【感想】
 面白いです。大賞獲るだけのことはあります。ゲラゲラ笑うタイプの面白さとは違いますが、あまり融通の利かないタイプの主人公ルシウスが、現代日本に出くわして、困惑する様が可笑しさを誘います。


 生真面目なローマ人らしく「ローマこそ地上最高」と固い信念を持つルシウスが、日本人を見て「平たい顔族」とやや見下し気味なネーミングをしつつも、ローマ帝国よりはるかに進んだ(当たり前ですが)現代日本の風呂技術を前にして、その誇りがグラグラ揺れつつ、それでもやせ我慢して誇りを固守し、なおかつチャッカリと、かつ建築家らしい真摯さで現代日本の風呂を真似て、ローマに斬新な風呂を作っていく。出来上がった風呂がまた(当たり前ですが)現代日本の風呂とは似てるけど微妙に違う。そのズレっぷりが面白さの理由でしょう。


 巻末に「続編お楽しみに」的メッセージがありましたが、本編と似たパターンで行くのか、それとも何らかのハプニングを加えていくのか、どちらにしても続巻を作るのは難しい作業になるでしょうね。
 実際、続編は未だ刊行されていません(2010年5月現在)。



【私的評価】
電車の中で気軽に読めるか…5/5点(笑いたいのを無理にこらえたり、というほどでもないです)
読後に何かが残った感じがするか…1/5点(ローマ帝国ハドリアヌス帝に関する知識を少々)
繰り返し読めるか…3/5点(数回読めます)
総合…4/5点(ルシウスの生真面目さに共感)