乱鴉の島(らんあのしま)
孤島の殺人ものが大好きな人へ、あるいは、とざされた雪の山荘で連続殺人が起きることにリアリティを感じない人全般へ
- ISBN(13桁)/9784101204369
- 作者/
- 私的分類/ミステリ(本格)・孤島の殺人
- 作中の好きなセリフ/
「いいえ。この島には、誰もいません。誰がいるとおっしゃるんですか?木曜日に海老原先生がおいでになって、金曜日に他の皆さんが続々といらっしゃって、最後に初芝さんがヘリコプターで降りてきた。それで全員です」
【私的概略】
犯罪心理学者の火村英生と有栖川有栖のシリーズ。2007年本格ミステリの第1位に輝いた作品。
日ごろの激務に疲れ果てた火村は、友人の有栖川有栖と三重県沖の島へ旅立ちます。しかし、手違いで、目的地の島とは違う(殆ど)無人島へ送られてしまい、そこで殺人事件に出くわしました。
高名な文学者。文学者をとりまく謎の人々。島に突如押しかけた、仕事で多忙なはずの有名実業家。彼らが島に集まった目的は何か?そして犯人は誰なのか?本土からの応援が望めない中、火村は謎解きを開始します。
【感想】
ミステリの紹介はネタばれ厳禁です。
上の概略も、出版社の紹介記事並みの、本の内容の伝わらなさ。当然感想なんぞも、ボンヤリするに決まっています。
それにしてもさすが有栖川有栖、ぐいぐい読ませますな。私の好きな、孤島もの。孤島にたどり着くまでの過程がそれらしくて○。何でそう感じたのかは我ながら分かりませんが、江神二郎シリーズのような雰囲気を感じます(私は火村英生シリーズよりも、江神二郎シリーズの方が好きなのです)。さすがは2007年本格ミステリ1位。もっとも、「2007年本格ミステリ」なるものがどういう賞なのかは存じません。
個人的には、1位というほどではなかろうという気も。
新本格ミステリにありがちな地図や屋敷の見取り図はありません。不可能状況での殺人もありません。そういうのに慣れてる私としては、そこが物足りません。
とはいえ、私は孤島中毒。孤島が舞台なだけで加点対象。1位でないとしても、2007年を代表する作品であることは間違いありません。まぁ、この本を読んだのは2007年よりはるかに後なんですけどね。
【私的評価】
電車の中で気軽に読めるか…5/5点
読後に何かが残った感じがするか…3/5点(面白かった)
繰り返し読めるか…4/5点(もう一回読める。その都度作者の意図に発見が)
総合…4/5点(私の好きな孤島ミステリなので、1点加点)