人を幸せにする話し方

自分のしゃべりに自信が無い人へ、あるいは、空気を読む作業に疲れている人へ

  • ISBN(13桁)/9784408107615
  • 作者/平野秀典
  • 私的分類/自己啓発(人生)・泣かせる話
  • 作中の好きなセリフ/

「今よりもっと説得力を身につけたいですか?」
(中略)
「では、自分が買い手側になったとして、誰かに説得されてモノを買いたい人はいますか?


人を幸せにする話し方―仕事と人生を感動に変える言葉の魔法(←同作品を扱う他ブログへ)


【私的概略】
 感動プロデューサーなる独自の肩書きを持つ平野氏は、1年の殆どを「小手先ではない感動創造」について公演や研修を行っている、人気の講演家です。業績を悪化させた会社で画期的なプレゼンテーション方法を案出し、それを社内で横展開させて会社の業績をV字回復させた、という経歴を持っています。「感動創造」というのも、そのときに培った手法が源になっています。
 彼の講演が人気があるのは何故か?人を感動させる「話し方」に焦点を置き、解き明かしていきます。
 テクニック重視ではなく、「話すこと」のそもそもの目的「相手とつながること」を大事にした、話し方の極意書です。



【感想】
 私は本来泣き虫なせいか、泣くのが嫌いです。より厳密に言うと「泣きたいから、泣ける話を聞く」という行動に違和感を持っています。
 この本の著者、平野氏が、私の勤めている会社に講演に来たことがあります。初めのうち「感動プロデューサー」なる彼の肩書きを見て「泣ける話を聞かせて感動を売っている人なのではないか」と斜に構えていました。
 しかし、どうもそうではない(まぁ、泣ける話も登場して、会社内なのに危うく泣きそうになる場面もありましたが)。「感動」という言葉をキーワードにして、『よく言われている「顧客満足」とは、顧客の期待値と結果が一致している状態に過ぎない。顧客の期待値を結果が上回る「顧客感動」こそが、日本の企業がこれから求めていくべきことだ。』と言われたとき、不景気で会社の閉塞感を感じていた私は、なんとなく次の時代のキーワードを手に入れたような気がしました。


 そんな人が書いた本なので、確かに「感動する、泣ける話」もちりばめられていますが、それらは単に泣くためではない。読者に対して『あなたは何故、今泣いたのでしょうか?それは、この話の登場人物のこういう「行動」に対してですよね。この「行動」こそが「話し方の極意」なんです』というような話をするためなのです。


 この本は、ロジカルに「話し方」を突き詰めていくものではありません。どちらかというと、この本の平野氏はアーティストに近いような雰囲気です。その分、本の内容も右脳に訴えるような面があります。右脳から素直に頭に入ってきて即、明日から使えるようになる極意書なのです。



【私的評価】
電車の中で気軽に読めるか…3/5点(電車の中で泣くわけには)
読後に何かが残った感じがするか…4/5点(この本の勘所は残った)
繰り返し読めるか…4/5点(エッセンスを自分のものにするまで繰り返し)
総合…4/5点(感動を売りにする自己啓発本は嫌いなのですが、これはオッケー)